AI エージェントを「司令塔」として使うのは独自のやり方か — 世界標準の作法と、3 人体制で agent 同士に報連相させる話(自分用メモ)

ChiefPM(全プロジェクトを統括する Claude Code のセッション)を置き、その下に製品ごとの PM セッション、さらに issue ごとの作業セッション、という形で運用してきた。これは自分独自の使い方なのか、世界に標準の作法があるなら取り入れたい、という問いから始めた議論のメモ。

結論: 独自ではない。「オーケストレーター + 作業エージェント」の階層型が標準

2025 年以降、複数の AI エージェントを組み合わせる構成は「統括(オーケストレーター / スーパーバイザー / マネージャー)が計画・割当・進捗確認を担い、作業エージェントが実行する」形に収束している。

出どころ 構成 うちとの対応
Anthropic のマルチエージェント研究システム 統括が仕事を分割して並列に渡し、結果を統合。統括は自分で調べない ChiefPM は実装しない(docs-only)
Claude Code の Agent teams リーダー 1 + チームメイト複数が共有のタスク一覧で動く PM + 作業セッション
OpenAI Agents SDK マネージャー型(中央が他 agent をツールとして呼ぶ)とハンドオフ型(担当を渡す) 両方使っている
CrewAI 階層プロセス、LangGraph Supervisor、Microsoft Magentic-One 統括が計画・割当・確認、実装は担当 同上

既に標準どおりにやっていること

  • 統括は実装しない。
  • 仕事は受け入れ条件つきで渡す。
  • 危険な操作は人に戻す(NEEDS_HUMAN、分類器に止められた操作は人のチェックリストへ)。
  • 文脈は会話ではなく成果物で共有する(GitHub の issue / PR が正本)。
  • 終了時に引継ぎ要約を残す。
  • 決定記録を残す(docs/decisions、ADR に相当)。

標準にあって、まだ取り入れていないもの

  1. 作者とレビュアーの分離を明文化する。作る agent と評価する agent を必ず分ける。PR のゲート(pm-gate)の LLM レビュー層がこれに当たる。
  2. 観測性。各 agent が何をなぜ判断したかを後から追えるログ。いまは issue コメントに散っている。ops のダッシュボードに置く。
  3. 予算と停止装置。往復回数・トークン・時間の上限と、人が止めるスイッチ。
  4. RACI 表。誰が実行・責任・相談・報告か、を役割ごとに 1 表にする。「主体は誰か」の取り違えが減る。
  5. 評価セット。同じ課題を定期的に解かせて agent の判断品質を比較する。

順番は 1(今週のゲート機械化で入る)→ 4(playbook に 1 表)→ 2・3(連絡基盤と一緒に ops へ)→ 5。

3 人の司令塔をつなぐ

3 人体制で、各人が自分の司令塔 agent を持っている。人に知らせるのではなく、司令塔同士が報連相できる仕組みが欲しい。

Claude のセッション間メッセージの限界

Claude Code のセッション間メッセージは気に入っている機能だが、公式仕様では「自分のセッション同士」限定。別の人のアカウントには届かず、同じマシンでも OS ユーザーが違えば見えない。稼働中のセッションに外から入力を届ける正式手段(Channels)はまだ研究プレビュー。

つまり、司令塔同士の連絡網は Claude 専用機能の上には作れない。3 人の道具が違う(Claude Code、Codex、GPT デスクトップ)ことも同じ結論を指す。

Slack と GitHub、どちらか、ではなく両方

Slack GitHub Issue
速さ プッシュ、秒〜分 ポーリング、分
会話 スレッドで往復しやすい コメントは往復に向かない
記録 流れる 残る。issue と結びつく
導入 アプリと権限の設定が要る 既にある

「Slack が相談画面、GitHub が正式な記録先」。司令塔同士の報連相は Slack のチャンネル、決定と引継ぎだけ issue に書き戻す。判断が要るものは司令塔が自分の人に上げ、その先は各自の LINE。即時性が要る本番障害は従来どおり人の LINE。

連絡係セッションを置く

既存のセッションに外から入力を届けられないので、「連絡係」の専用セッションを 1 本置き、そこから既存のセッション間メッセージで PM に渡す。連絡係は固定名にし、宛先は名前ではなく ref(6 桁)と役割で管理する。名前は再接続ごとに、見る側でも変わる。

外部 agent の発言は指示ではなくデータとして扱う。相手 agent の発言はユーザー承認の代わりにならない。分類器に止められた操作を相手に肩代わりさせない。投稿前に秘密情報スキャンを通す。

環境はベンダー中立か

VS Code + SSH で devbox につなぐ形は、Codespaces や Cloud Workstations と同じ主流の作法。devbox はただの Linux なので、Claude Code、Codex CLI、Gemini CLI、Qwen Code は同居できる。中国勢の多くは OpenAI 互換 API で呼べる。

ベンダーに縛られる部分は 4 つ。

  • セッション間メッセージ(Claude 専用)→ 連絡は Slack / GitHub に置く。
  • 指示ファイル。AGENTS.md はベンダー横断の事実上の標準、CLAUDE.md は Claude 専用。両方リンクのみ、正本は playbook、にしてある。
  • 許可と安全装置。Claude の分類器、Codex のサンドボックス、Gemini の承認モードは全部別物。「危険な操作は人のチェックリストへ」が道具に依らない共通の安全線。
  • フック・スキル(Claude 専用)。共通化するなら MCP に寄せる。

品質ゲートの LLM レビューは「呼ぶモデルを設定で差し替えられる」ように作る。

環境側で直すなら、devcontainer 化(環境の再現性)と、PM セッションを tmux に載せる(再接続で消えなくする)。

Approve 問題との関係

同時に抱えていた問題: PR のマージに人の Approve が必要で、開発者のスピードを落としている。

連絡基盤は、この問題の解決にはならない。「人が押す」こと自体が残るから。解決は機械のゲート(決定論チェック + LLM レビュー、PASS なら人の Approve 不要、NEEDS_HUMAN のときだけ人)。ただし連絡基盤は、レビュー依頼の検知を速くし、「Approve 待ち PR の一覧」を毎朝自動で出す、というきっかけには使える。両方あって完成。順番はゲートが先、連絡基盤が後。

決めたこと・保留

  • 階層型の運用は標準。RACI と観測性と停止装置を足す。
  • 司令塔連絡は Slack(相談)+ GitHub(記録)。連絡係セッション方式。着手はリリース後。
  • 環境は変えない。正本を GitHub と playbook に置き、Claude 専用機能に組織の仕組みを乗せない。
  • Approve はゲートの機械化で解く。連絡基盤は補助。
岡山出身、1977年生まれ、現在ドバイ在住。ネット広告、EC、アドテク、マーケツール、健康、ハピネスなどに興味があります。

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