Wantを用いないコミュニケーション

「ご家族は可能な限りの治療を希望されますか?」「延命治療を希望されますか?」「1分1秒でも頑張りたいですか?」。こうした「〇〇を希望しますか?」というwantを用いたコミュニケーションを救急集中治療領域の医療者はしがちである。しかし,こうした聞き方は避けるべきだ。「〇〇を希望しますか?」と聞いてはいけない理由として,Schwarzeらは以下の3点を理由として挙げている4)

1)どの治療を選択するかにフォーカスしてしまい,なぜ選んだかのプロセスがわからない。
2)非現実的な願望を持つ。直感と感情で判断しやすい。
3)家族の「希望します」の意思表示を撤回することは意見の対立につながる。

筆者は「家族が(治療の)フルコースを希望しているのですが,どうすれば良いですか」と質問を受けることがあるが,これはwantで聞くことにより発生している問題かもしれない。このような場合は「もし〇〇さんが今のお話を聞いているとしたら,ご本人はこの状況について何と言われるでしょうか」という表現を使うことを勧めている。ポイントは「希望する」ではなく,「言う」「考える」「思う」という言葉を使う点だ。聞き方を少し変えるだけで,家族は患者本人の価値観を考えて,患者の過去の言葉やどんな経験をしてきたかについて語ることができる。

岡山出身、1977年生まれ、現在広島在住のマーケターです。ネット広告、EC、アドテク、マーケツール、健康、ハピネスなどに興味があります。

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